伝説の起業家ピーター・ティールの「Zero to One」を読んだ感想
·最終更新 ·約5分
ピーター・ティールは、世界最大のオンライン決済システムであるペイパルの共同創業者です。 ペイパル出身者は、皆次々と会社を起業し、成功しているので、俗に「ペイパルマフィア」と呼ばれています。 日本人にとってペイパルマフィアの中でも有名なのは、テスラのCEOであり、スペースXのCEOでもあるイーロン・マスクだと思います。 ピーター・ティールはこのペイパルマフィアのドンと呼ばれている人です。 このピーター・ティールが起業家向けに書いたのがこの本です。 以下に、自分が勉強になった部分をまとめていきたいと思います。
ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか [ ピーター・ティール ]
競合がいない分野に進出し、独占する
この本の中心的コンセプトであり、ティールの主張の核となるのは、「競合がいないので、圧倒的に市場を独占できるような起業計画を事前に行い、それに一点集中する」ことです。
これは今流行りのリーン・スタートアップとは異なる考え方です。 リーン・スタートアップでは、事前の計画を重要視しません。 というのも変化の激しい市場では、事前に綿密に計画を行ってもうまくいかないからです。 事前計画を立てない代わりに、状況に応じて最善の道を歩み続ける柔軟性を重要視します。
ティールは、市場を独占できるような計画を事前に立てることを重要します。 というのも、企業が大きなリターンを得るためには、市場を「独占」するしか方法がないからです。 市場で永続的な価値を生み出し、リターンを得るためには、競合のひしめく市場で競争し、差別化のないコモディティビジネスを行ってはいけません。
ここでいう、「独占」とは、他社と替えが聞かないほど、そのビジネスに優れた企業という意味です。 例えば検索分野でのGoogleで、Googleには検索分野にライバルはいません。
経済理論が完全競争の均衡状態を理想状態とするのは、モデル化が簡単という学問主体の考え方のためであって、ビジネスに最適だからではありません。 競争は資本主義の対極にあります。 学問では理想とされている競争によって、企業の収益は低下しています。 つまり社会に提供する価値が下がっています。
ではどのように独占できる企業を作り出すのか、ティールの主張は大きくまとめて以下の2点です。
- 隠れた真実を見つける
- 小さな市場から始めて、拡大する
隠れた真実を見つける
本書で最も強く書かれている部分です。 独占する企業を創造するためには、「世の中が気づいていない真実」を見つける必要があります。 「世の中がまったく気づいていない真実」と書くと非常に難しく感じますが、「世の中がまだ気づいていない価値で、あなたが間違いなく価値があると思っているもの」と言い換えられると思います。
例えばエアビーアンドビーは、安く旅行するためにホテル代を節約したいとおもっている需要と、自分の所有している空き部屋を信頼できる旅行者に貸し出したいという供給があることに気づきました。 それまで旅行者はホテルに宿泊するしかありませんでした。 この未開拓の需要と供給をマッチングさせることで、エアビーアンドビーはこの分野の独占企業になりました。
Uberも同様です。 お金を少しかけてもいいから目的地へ早く行きたいという需要と、車を所有していて時間が余っている人の供給を、うまくつなげることで、いままで見過ごしてきた市場を作り出すことができました。 それまでは、個人がすばやく移動するためにはタクシーしかありませんでした。
このように、世界や市場がまだ気づいていない「隠れた真実」をまず見つけることからスタートします。
小さな市場から始めて、拡大する
隠れた真実を見つけた企業も、いきなり独占企業になれるわけではありません。 市場を独占するまでの軌跡を、創業時から計画する必要があります。 まずは特定のニッチ市場を支配する必要があります。 バラバラの何百万人の人に自社のプロダクト/サービスを売り込むより、そのプロダクト/サービスを本当に必要とする数百人にアプローチし、その市場からスタートすることが重要です。
ティールの企業したペイパルはいまでこそグローバルなオンライン決済システムですが、最初はイーベイのパワーセラー(イーベイで多くの商品を出品している人)をターゲットとしました。 彼らは一日に何度も商品を出品するので、素早い決済を望んでいたたため、このペイパルのサービスの格好のターゲットだったからです。
Facebookも世界最大のSNSになりましたが、まずは大学内のSNSとしてスタートしました。
グローバルな独占企業への第一歩は、ニッチな市場の独占です。 ニッチ市場から、周辺市場へ拡大していく軌跡を当初から計画しておくことが重要です。
まとめ
本書での起業の部分に焦点を絞ってまとめてみました。
本書では企業以外にも、営業の重要性や、今後のテクノロジーとの関わり方などについて、ティールの考え方が書かれています。 ティールに興味をお持ちになったら、是非読むことをお勧めします。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。